結納金なしは失礼?最近の傾向と結納金の役割とメリット、注意点とは?
結婚式準備の中でも、簡略化されつつある結納。近年では結納を行わない夫婦も増えています。そもそも結納は、婚約のしるしに、両家で品物を取りかわす、共同で行う儀式のことを指します。また、結納をおこなう際に結納品の一つとして支払われる結納金は「女性が嫁入りの準備をするためのお金」として新郎となる男性側から新婦となる女性側へ贈るお金です。
しかし最近は、この結納の儀式や結納金を贈る儀式なども簡略化、もしくはなくなりつつあります。ここでは「ないとは聞くけど実際どう?」「注意点や、知っておくべきことは?」などの疑問や、注意点、両家が納得する形などを徹底解説します。
2023年09月05日更新
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結納で、「結納金なし」ってアリ?
「結納金なしは周りにも多いけど、実際あり?なし?」「失礼ではないの?」と不安になる方もいるでしょう。結婚の形や、行事は時代と共に変化しているため昔ほどこだわらない家庭も増えています。また、結納の形にもさまざまなスタイルがありお互いが納得する形で進めていくことが大切です。
略式結納なら問題ない
結納は大きく分けて以下の2種類があります。
●「正式結納」…仲人が両家を行き来して結納品を受け渡す
●「略式結納」…両家のみで行う
昔は、正式結納が一般的でしたが、現在ではそもそも仲人がいない・負担が大きい・家族だけでさっと行いたい、などの理由があり略式結納が一般的です。
また、おごそかな雰囲気の中、高価な品々を準備して行う結納が既に時代的にも行われないことが多く、「正式結納」の儀式自体を知らない世代も増えつつあることも、理由とされています。
正式結納の場合は関東式・関西式にのっとって、以下のようなものが必要となります。
略式結納は、両家顔合わせの食事会などと一緒に行われることが多く、「結納金なし」「結納金のみ」「結納飾りなし」「婚約指輪や婚約のアイテムだけ」などさまざまな形に変化しています。そのため略式結納であれば「結納金なし」であっても問題はありません。
略式結納を行う場合は、結納品を一通り揃えた結納セットが販売されていたり、場所によっては結納で優先的に用意してくれるホテルなどのコースもあります。
そもそも結納金の役割って?
結納金は結納の中で、新郎側が新婦側に「お嫁さんになるための準備金」として贈るもの。婿養子として男性が女性の家に入る場合は、女性から男性に贈られます。
元々は、「御帯料(おんおびりょう)」や「小袖料(こそでりょう)」と呼ばれ、着物や婚姻のための衣装を贈っていましたが、時代と共にお金へと変化。婚礼家具(嫁入り道具)や婚礼衣装を揃えるためのお金として贈られるようになりました。
現在では、新居の家具代金や同棲する家の頭金や家賃に使う夫婦も多いようです。
結納金をなしにするメリット
結納金自体は結婚式とは別で用意しなければならず、それも少ない額ではありません。「結納金なし」と決めたことでふたりにとってもメリットとなります。
ここでは結納金をなしにするメリットを3つご紹介します。
1、結婚式や新生活の費用にあてられる
結納金をなしにする分、結婚費用・新生活やハネムーンなどふたりのこれからかかる出費に充てられます。結納金は「花嫁準備や嫁入り道具を購入をするための資金」であり、使い方は女性や女性側の親に委ねられていました。
しかし、近年では「ふたりへのお祝い金」「ふたりでの生活のための資金」として、結婚式で何かオプションをプラスしたり、両家でのウェディングフォトを撮るなど、両家にも還元できるものを選ぶ夫婦もいます。
2、経済的な負担が減る
結納金を行わないことの最大のメリットでもある経済的負担の軽減。現在は、結婚式もできるだけ出費を抑えた式で簡易的に行うカップルが多いほど、時代背景的にも経済部分の負担への不安は大きくなっており、出費を抑える傾向にあります。
結納金の平均的相場は100万円〜となっており、決して簡単に用意できる額でも少ない額ではありません。さらに結婚式を行う場合、式とは別で用意する費用のため、かなりの経済的負担となります。
結納の際に結納金以外にも会場・食事代も出費となり折半であっても大きな負担です。できるだけ出費を抑えるため結納金をなしにするのはメリットになるでしょう。
3、「結納返し」が不要となり、結納の準備が楽になる
男性にばかり負担がかかるように見えますが、実は女性にも「結納返し」があります。
結納返しは、贈られたお金に対してお返しとして贈る贈り物のこと。結納返しは、男性側から贈られたものよりも高価で華美にならないよう注意し、返礼として渡します。
結納返しには、地域差があり、主に関東より東の「関東式」、西側の「関西式」と分けられています。
スーツ・時計・などの日常に寄り添うものを主として贈ることが多いでしょう。
結納返しをする場合は、事前に何が欲しいのかどのようなものがいいのかを聞いておくことが大切です。
男性側から「結納金」がある場合は、女性側にも「結納返し」をする必要が出てきます。
経済的な負担等も含め、結納金をなしにすることで、結納返しもする必要がなくなり、恭しい口上の挨拶なども略せることでお互いの負担が軽減できます。
「結納金なし」を選んだときの注意点
「結納なし」が一般的となりつつありメリットがある一方で、注意点もいくつかあります。結婚は、両家の結びつきです。新郎新婦の考え方はもちろんですが、地域などでも考え方の違いが出てきて、わだかまりとなってしまうと結婚前から悲しい気持ちを抱くことになるしょう。
ここでは、「結納金なし」を選んだときの注意点をご紹介します。
ふたりだけで決めず、家族や両親に事前に相談しておく
「結納金の有無」は、ふたりだけで決めるのではなく事前に両家の両親などにも相談し「こう考えている」と伝えておきましょう。両家顔合わせなどの当日にいきなり伝えるのではなく、顔合わせ前に話し合いをしておくことがマナーです。
結納金は男性側から女性側に贈られるものであるため、女性側が「結納金を辞退します」と申し出をすることで成り立ちます。ふたりだけの問題ではなく、両家の問題となります。
両家が納得した上で「婚約指輪のみ」「婚約指輪のお返しがない代わりに毎年両家両親へなにか贈る」などを決めておくと、わだかまりもなくスムーズに進められるでしょう。
また、結納金に限らず、両家顔合わせや結納の場についてなど含め、「結納品を準備しているか」「結納をどのように執り行うか」「新郎新婦双方で相違がないか」「両家共に情報は伝わっているのか」など都度確認しておくことが大切です。
地域のしきたりやマナーがある場合は考慮する
近年では結納も簡略化され、結納金などの形式的なものが少なくなりかなり結婚へのしきたりやマナーは親世代などと比べれば簡単になりました。しかし、場所によっては結納や結婚のための儀式自体が激減しているとはいえ、「結婚」「結納」への昔からのしきたりやマナー、行事ごとを大事にしている地域も少なくありません。
結婚は確かに自分たちにとっての人生の門出ですが、両親や両家家族・親族にとってもおなじです。マナーやしきたりは地域によって違い、大事にしていることや結びつきのあり方について変化が少ない地域もあります。それらを完全に無視して進めてしまうことは「新しい道を切り開く」ことだけではなく「周りへの配慮をしない」ことにもつながります。
形だけであっても結納式を行った方が良いのか、関西や関東で出身が違う場合は関西式や関東式などの決まりはどちらにならうのかなども考えておきましょう。
結婚や結納が自分達だのものではないことを心に留めておきましょう。
両家の意見が合わない時は、結納にこだわらず、顔合わせ食事会に変更することも検討する
地域性も含め、両家の両親で結納に対する考え方や理解が違うこともあるでしょう。「結納金がないことは失礼」「娘とお金を引き換えにすることは、好ましくない」など、結納金については意見が割れることがほとんどです。
現在は、結婚指輪とセットの結納もありますが、それらも世代によっては理解し難いものである場合があります。その場合は「結納」にこだわらず、両家の顔合わせ食事会とするのもルール違反やマナー違反ではありません。
また、結納金なしで、顔合わせをする場合、お返しの要らないお気持ち程度の支度金を用意される場合もあります。
これは、男性の父親から女性の父親へ渡されるものであり「結納金」ではなく「支度金」の名目です。使い方や扱いは結納金とおなじなのですが「結納の場」で渡されるのが「結納金」なため「支度金」として扱われます。
ただし、支度金であってもいきなり渡すのではなく、両家や女性側には必ず伝えておきましょう。
また、お気持ち程度の支度金であれば「お返し不要」であることも必ず伝え、「ふたりでの新生活の準備金とさせていただきます。」など伝えつつ受け取ります。
支度金の受け取りを拒否することは事前に知っていても知らなくても、失礼にあたり「結婚を拒否します」の意味となりうることがあるため注意が必要です。
結納や結婚、結納金への考え方は人それぞれです。近年では、主流になった「結納金なし」も、大事にしている地域や家族は多くいます。結納金なしになったとしても、食事会や顔合わせ、結納の際の会場金額や割合なども話し合っておく必要があります。
結婚準備をしていく中で両家や地域などにより自分たちの考えだけでは進められない大変なことも出てくるでしょう。お互いの家族が結びつく、結婚はさまざまなしきたりの上でなりたっています。ふたりで決め、進行してしまうのではなく両家両親にも相談し自分たちにとって一番いい形を取れるようにしましょう。